最終更新日:2013年09月17日

胎児頻脈性不整脈

胎児頻脈性不整脈とは?表示

胎児心拍数が180以上を持続する場合は胎児頻脈性不整脈の可能性があります。自然に軽快する場合もありますが、長く続くと胎児水腫(胸やお腹に水がたまったり、全身がむくんだりすること)に進行して、出生前や生後すぐに亡くなることがあります。近年、胎児頻脈性不整脈に対する胎児治療の有効性が報告されていますが、まだ治療方法としては確立されてはおらず、その有効性および安全性を確認する臨床試験が国内で進行中です。

原因は?表示

心臓を動かす電気刺激の伝わり方の異常により胎児頻脈性不整脈が起こります。胎児頻脈性不整脈には、いろいろな種類がありますが、ほとんどが上室性頻拍と心房粗動です(図)。

左:正常 右:上室性頻拍(リエントリー)

左:正常 右:上室性頻拍(リエントリー)

左:上室性頻拍(自動能亢進) 右:心房粗動(マクロリエントリー)

左:上室性頻拍(自動能亢進) 右:心房粗動(マクロリエントリー)

診断方法は?表示

胎児頻脈性不整脈の診断は超音波検査で行います。心房と心室の収縮回数やその割合、心房と心室の収縮がはじまるタイミングなどから、心房粗動か上室性頻拍か、さらに上室性頻拍であればその種類を判断します。

通常の管理方法は?表示

胎児頻脈性不整脈が自然に消失する場合もありますが、持続する場合は早めに出産し治療を行う必要があります。出産後は新生児に直接薬を投与したり、除細動器を使ったりして不整脈を止めます。分娩週数が早いほど未熟な状態で出産しなければならないというデメリットがあります。

胎児治療とは?表示

胎児治療は母体に不整脈を抑える薬を投与して胎児の不整脈を止める治療です。胎内で不整脈が止まれば妊娠の継続ができ、よりよい状態で出産が可能です。ただし、健康な母体へ薬剤を投与するため副作用の出現には十分な注意が必要です。

治療成績と予後は?表示

胎児治療により約80%で胎児の頻脈性不整脈が消失したと報告されています。不整脈が治ることにより、早産や帝王切開を減らすことができると考えられます。現在進行中の臨床試験に先立って行われた国内における現状調査でも同様の良好な治療成績でした。

参考文献、その他表示

(1) 胎児治療の安全性を論述した論文、著書

Ulrich Gembruch ”fetal tachyarrythmia” Fetal Cardiology Embryology, genetics, Physioloosy, Echocardiographic Evaluation, Diagnosis and Perinatal Management od Cardiac Disease. Yagel et.al. London New York Taylar and Francis 2005

(2) 胎児治療の内容、有効性を論述した論文

1.M Krapp, T Kohl, JM Simpson, Review of diagnosis, treatment and outcome of fetal atrial flutter compared with supraventricular tachycardia Heart 2003: 89; 913-917

2.Fouron JC, Fournier A, Lamarche J et.al. Management of fetal tachycarrhythmia based on superior vena cava/aorta Doppler flow recordings. Heart 2003: 89; 1211-6