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胎児疾患HP ・胎児頻脈性不整脈(一般)・胎児頻脈性不整脈(臨床試験)・CDH・TTTS
最終更新日:2020年11月13日
胎児心拍数が180拍/分以上を持続する場合は胎児頻脈性不整脈の可能性があります。
自然に軽快する場合もありますが、長く続くと胎児水腫(胸やお腹に水がたまったり、全身がむくんだりすること)に進行して、出生前や生後すぐに亡くなることがあります。
近年、胎児頻脈性不整脈に対する胎児治療の有効性および安全性を確認する国内の臨床試験が終了し、その研究成果が報告されました(「胎児頻脈性不整脈に関する経胎盤的抗不整脈薬投与に関する臨床試験」参照)。
心臓を動かす電気刺激の伝わり方の異常により胎児頻脈性不整脈が起こります。胎児頻脈性不整脈には、いろいろな種類がありますが、ほとんどが上室頻拍と心房粗動です(図)。
胎児頻脈性不整脈の診断は超音波検査で行います。心房と心室の収縮回数やその割合、心房と心室の収縮がはじまるタイミングなどから、心房粗動か上室頻拍か、さらに上室頻拍であればその種類を判断します。
胎児頻脈性不整脈が自然に消失する場合もありますが、持続する場合は早めに出産し治療を行う必要があります。出産後は新生児に直接薬を投与したり、除細動器を使ったりして不整脈を止めます。分娩週数が早いほど未熟な状態で出産しなければならないというデメリットがあります。
胎児治療は母体に不整脈を抑える薬を投与して胎児の不整脈を止める治療です。胎内で不整脈が止まれば妊娠の継続ができ、よりよい状態で出産が可能です。ただし、健康な母体へ薬剤を投与するため副作用の出現には十分な注意が必要です。
胎児治療により50~80%で胎児の頻脈性不整脈が消失したと報告されています。国内の臨床試験でも約90%で胎児頻脈性不整脈の消失が確認されました(「胎児頻脈性不整脈に関する経胎盤的抗不整脈薬投与に関する臨床試験」参照)。