最終更新日:2020年11月12日

胎児重症大動脈弁狭窄症に対するバルーン弁形成術の早期安全性試験

臨床研究の目的は?表示

重症大動脈弁狭窄症は、出生後に理想的な治療をおこなっても十分な成績ではなく、左心低形成のため右心室による単心室循環になると、合併症の治療に難渋することがあります。超音波ガイド下胎児大動脈弁形成術という胎児治療は、左心室の機能を救い、左心室と右心室の両方の心室を使う循環を成り立たせることを目標にしています。本研究は、この胎児治療の日本における有効性と安全性を評価することを目的としています。

 

臨床研究の対象基準は?表示

以下の選択基準をすべて満たしている妊婦さんと胎児です。

妊婦さんに対する選択基準

  1. 妊娠22週0日~31週6日
  2. 16歳以上45歳未満
  3. 妊娠高血圧症候群がない
  4. 性器出血がない
  5. 破水していない
  6. 子宮頚管長が20 mm以上である
  7. 妊婦さんと配偶者の研究参加同意が得られている

胎児に対する選択基準

参考文献 1.Boston Children’s Hospitalの基準に準拠したinternational registry groupが推奨する以下の基準1)に従って、重症大動脈弁狭窄症でかつ左心室が小さくなっていないこと。

  1. 大動脈弁狭窄 (以下のすべて含むこと)
    • 大動脈弁尖の可動性が不良である
    • 大動脈弁輪径より小さい順行性のjet状のカラードップラー血流を認める
    • 左室流出路狭窄がない、もしくは最小限である
  2. 左室機能不全
  3. Transverse arch血流が逆行性もしくは両方向性である、または以下のうち2項目以上を満たす
    • 僧帽弁流入血流パターンが単相性であること
    • 心房間血流が左→右方向であること
    • 肺静脈血流パターンが両方向性であること
  4. 左室長軸長  z > -2であること
  5. Threshold score ≧ 4(以下の4項目以上を満たすこと)
    • 左室長軸長 z > 0 (1pts)
    • 左室短軸長 z > 0 (1 pts)
    • 大動脈弁輪径 z > -3.5 (1 pts)
    • 僧帽弁輪径  z > – 2 (1 pts)
    • 僧帽弁逆流または大動脈流出路最大収縮期圧較差 ≧20 mmHg (1pts)

当該疾患以外の重篤な胎児異常(生命予後を左右する疾患)がない

 

臨床研究での治療の流れは?表示

超音波診断装置を用いて穿刺する位置を決め、穿刺するお母さんの皮膚に局所麻酔をおこないます。穿刺針をお母さんの皮膚を経由して子宮の中に挿入し、赤ちゃんの胸から左心室まで進めます。次に穿刺針の中にガイドワイヤーを通し、左心室から大動脈弁の先まで進めます。そしてガイドワイヤーに沿わせて治療用バルーンを大動脈弁の位置にすすめ、バルーンを膨らませて弁を拡張し形成します。その後バルーンを収縮させ、そのまま穿刺針を抜いて終了します。

研究期間および目標症例数は?表示

試験実施期間:2019年2月~2022年2月
目標症例数: 5例

臨床研究の実施施設は?表示

日本胎児心臓病学会胎児治療委員会を中心とした全国的な協力体制の下で実施されます。胎児治療の実施施設は国立成育医療研究センターです。

研究対象となる可能性のある方をご紹介いただくフローチャートを以下に示します。国立成育医療研究センターから遠方のご施設の場合、以下の研究協力施設を中心としたお近くの小児循環器科で胎児治療の適応をご確認いただくことができます。

研究協力施設(2019年2月18日現在)

  • 北海道大学病院(代表者:武田充人)
  • 宮城県立こども病院(代表者:田中高志)
  • 静岡県立こども病院(代表者:田中靖彦)
  • 長野県立こども病院(代表者:安河内聰)
  • 国立循環器病研究センター(代表者:黒嵜健一)
  • 福岡市立こども病院(代表者:石川司朗)

問い合わせ先は?表示

国立成育医療研究センター 循環器科 診療部長 小野 博 (おの ひろし)
国立成育医療研究センター 胎児診療科 診療部長 和田 誠司 (わだ せいじ)
Tel: 03-3416-0181(代表)

リンク表示

日本胎児心臓病学会ホームページ 胎児心臓病治療
https://www.jsfc.jp/treatment/index.html

適応基準チェックやZスコア計算ができます。

参考文献、その他表示

  1. Moon-Grady AJ, et al. International fetal cardiac intervention registry. A worldwide collaborative description and preliminary outcomes. J Am Coll Cardiol 2015; 66: 388-399.