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胎児疾患HP ・胎児頻脈性不整脈(一般)・胎児頻脈性不整脈(臨床試験)・CDH・TTTS
最終更新日:2020年11月13日
CPAM (Congenital Pulmonary Airway Malformation)とは、日本語で先天性肺気道奇形といいます。肺の一部が嚢胞状になる良性腫瘍で、嚢胞が大きいものから非常に小さいものまであります。胸腔内で心臓や正常肺を圧迫するために、胎児期や出生後にさまざまな問題を引き起こすことがあります。先天性の肺疾患には他に肺分画症、気管支閉鎖などがありCPAMとの鑑別が必要です。
CPAMによって起こる問題はCPAM自体の大きさに依存します。小さなCPAMは胎児期に問題を起こす事はほとんどありません。しかし大きいCPAMは正常な肺を圧迫して肺低形成を起こしたり、心臓を圧迫して胎児水腫(腹水、胸水、心嚢液貯留、皮下の浮腫が主な所見です)となったりすることがあります。また食道を圧迫して胎児の嚥下を妨げてしまうと羊水過多となり、早産や破水の原因にもなります。
CPAM は超音波検査やMRI検査によって診断します。CPAMの大きさ(容量)は、超音波検査から得られた測定値を用いて、次の計算式によって算出します。
CPAMの容量(cm3)=腫瘍長径(cm)x 短径(cm)x 高さ(cm)x 0.52
CPAMの大きさを妊娠週数や胎児の大きさによらず評価する指標としてCPAM Volume Ratio (CVR)が用いられます。CVRは次の計算式によって算出します。
CVR=CPAMの容量(cm3)/頭囲(cm)
過去の報告からCVRが1.6以上の場合には高率に胎児水腫を発症するため1)、特に注意深い観察が必要です。
小さなCPAMは胎児期や出生時に問題を起こす事はほとんどないため、特に治療の必要はなく経過観察のみで管理可能です。CPAMが大きい場合は、出生直後から人工呼吸管理が必要になる可能性が高く、場合によっては緊急手術が必要になることもあるため、小児外科医が緊急時にも対応できるような三次医療施設での分娩が勧められます。
CVR≧1.6の場合や胎児水腫を認める場合は、胎児死亡や新生児死亡のリスクが高いと考えられるため、早期娩出や胎児治療が必要になります。胎児治療として嚢胞の大きなCPAMでは、嚢胞−羊水腔シャントの留置2)、嚢胞が小さいCPAMでは経母体的に副腎皮質ホルモン(ステロイド)の投与3)4)が検討されます。